照明のDMXとはケーブル・終端・スプリッター・コントローラー。店の配線で決まること

DMXは、卓(コントローラー)から照明器具へ「どう動け」を送る1本の線です。器具を何台つなげるか、どこで枝分かれさせるかで、配線のやり方が決まります。

実店舗の天井に並ぶムービングヘッド。1台ずつがDMXの線でつながっている
天井の器具は、DMXの線で1台目から2台目、2台目から3台目へと数珠つなぎになっています。

DMXで照明を動かす操作盤は、照明卓(調光卓)・全16機種に、動かす台数と通り道(チャンネル)の数で並べています。 店に合わせた目安はAIに相談する

1.DMXの中身——数字は4つだけ覚えれば足りる

舞台照明の制御信号の規格は、正式にはUSITT DMX512-A(ANSI E1.11)と呼ばれます。半導体メーカーのFreescale(現NXP)がDMX512の実装を説明した技術資料(AN3315・2006年)には、次のように書かれています。

項目技術資料の記述店の配線では
速さ250 kbps(1ビット4マイクロ秒)人の目には遅れは見えない。器具の台数が増えても同じ速さで流れる
1本で送れる指示の数最大512(1フレームは開始コード+512=513バイト)器具のチャンネル数の合計が512を超えたら、2本目の線(2ユニバース目)に分ける
電気の決まりEIA-485マイクのケーブルとは別物。DMX用のケーブルで引く
終端データ+とデータ−の間に120Ω(+5%/−10%)の終端を置く数珠つなぎのいちばん最後の器具に終端(ターミネーター)を挿す

出典:Freescale Semiconductor「DMX512 Protocol Implementation Using MC9S08GT60 8-Bit MCU」(AN3315, 2006)。器具ごとのチャンネル数やアドレスの話はムービングライトの用語で扱っています。

2.ケーブルと端子——規格が決めているのは5ピン

同じ資料は、端子について「必要な端子は5ピンのXLR」とし、ピンの割り当てを1=共通、2=データ1−、3=データ1+、4=データ2−、5=データ2+としています。送る側(卓など)はメス、受ける側(器具)はオスです。

3.枝分かれさせたいとき——スプリッターが要る理由

技術資料はDMXのつながり方を「1つの送信器、終端された1本の伝送線、1つ以上の受信器」と書いています。線は1本で、端に終端がある形が前提です。

だから、天井の右と左に分けたい、ステージ側と客席側に分けたい——というときに、ケーブルをY字に割って枝を作ることはできません。枝の数だけ「線の端」ができてしまい、終端の前提が崩れるからです。ここで使うのがDMXスプリッターです。1本の入力を受けて、それぞれ独立した新しい1本の線として出し直します。

店の状況やり方
器具が1列に並ぶ(バーのカウンター上など)数珠つなぎ1本+最後に終端
天井の左右・ステージと客席など、離れた場所に分かれる卓の近くにスプリッター。枝ごとに数珠つなぎ+それぞれの最後に終端
器具のチャンネルの合計が512を超える2本目の線(2ユニバース目)。卓が2系統を出せる必要がある
クラブの天井一面に配置された照明器具
天井の広い店では、器具を場所ごとのまとまりに分けて、まとまりごとに1本の線で引きます。

4.コントローラー(卓)——何を動かすかで選ぶ

DMXの線の出発点が卓です。当社が扱う照明卓(調光卓)・統合制御は全16機種で、代表的なものは次の4つです。

種類主要諸元(当社の機種)向いている店
統合コントロールコンソール1,000プログラム以上/Wi‑Fi遠隔操作/音楽同期営業中の演出を決まった流れで回したい店
大規模構成向けコンソール512〜1,024ch/DMX512器具の数が多く、2本目の線(1,024ch)まで使う店
音感応インテリジェントコントローラー音声検知連動/6系統出力/赤外線学習音に合わせて自動で動かしたい店
映像・音響連動装置4K・8Kデコード対応/DMX入出力映像と照明をそろえて動かしたい店

「512〜1,024ch」は、1本の線(512)から2本の線(1,024)まで出せるという意味です。器具のチャンネル数の合計から、何本の線が要るかを先に数え、それを出せる卓を選びます。

自分の店の照明の台数で考えると:AIに相談する(店の写真で目安) 照明卓は照明卓・統合制御(照明12台用〜96台用)

5.店でよく起きることと、DMXの側の原因

起きることDMXの側でまず見るところ
2台だけ同じ動きをするアドレスの重なり(用語の「アドレス」)
ときどきちらつく・勝手に動く最後の器具に終端が挿さっているか
途中から先の器具が全部止まる止まった1台目の手前のケーブルか、その器具のIN/OUT
枝を足したら全体が不安定になったY字に割っていないか(スプリッターを使う)

どれも、据え付けのときの線の引き方で防げるものです。当社が機材だけをお貸しせず、電気工事と設定まで一緒にお受けしているのは、この部分を他人任せにすると営業中に止まるからです。

自分の店の器具の数と配置で、線を何本・どう分けるかはAIに相談する(この話の続きから) 図面があればお問い合わせフォームから担当者へ。

6.次に読むもの

最終更新:2026年10月17日。規格の数字は Freescale Semiconductor の技術資料 AN3315(2006)の記述によります。卓の諸元は当社が実際に扱っている機種のものです。写真は当社が施工した実店舗のものです。書いているのは、クラブ・ホストクラブ・ラウンジ・ライブハウスにステージ照明を実際に施工している電気工事会社(日本ネオン株式会社)です。

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