設置と運用吊る・つなぐ・動かす、引き渡しのあとまで

機材が届いてから店が光るまでの間に、吊る・つなぐ・動かすの3つの工程があります。カタログで語られないのはここから先です。

店舗の天井。エアコンの吹き出し口とリング状の照明、そして右手にムービングヘッドが取り付けられている
実際の天井には、空調・スプリンクラー・点検口・既設の照明が先にいます。器具はその隙間に入れるのではなく、先に位置を決めてから取り合いを調整します。

1.現地調査で見ているもの

図面と写真である程度の構成は出せますが、最後は現場を見ます。見ているのは、おおよそ次の4つです。

見るもの何を判断しているか
天井の中身石膏ボードか、その裏に躯体(構造体)があるか。点検口の位置。ここで吊り方が決まる
分電盤空き回路と容量。台数の上限はここで決まることが多い
先にいる設備空調の吹き出し・スプリンクラー・感知器・既設照明。取り合いと、スモークの流れ
搬入経路階段・エレベーター・扉の幅。大型機は箱のまま上がらないことがある

当社の流れは①図面か写真を送っていただく → ②構成と月額の目安をお返しする → ③現地調査・お見積り(無料)→ ④ご契約 → ⑤設置・引き渡しです。②までは現場に行かずに進みます。

2.吊る

ムービングライトは、いちばん軽い小型ムービングヘッド(150W級)で正味3.6kg、ビームムービングヘッド295で正味14kg、当社で扱うなかで最も重い大型ウォッシュ(40W×19灯)は正味15kgです。石膏ボードの天井材に直接ぶら下げることはできません。躯体から取るのが原則で、当社の見積りに「取付金物類(躯体面)」という項目があるのはこのためです。

取り付け方は、大きく2通りあります。

方法中身向く場合
トラスを組むアルミの骨組みを渡し、そこにクランプで器具を留める台数が多い/位置を後から変えたい/ライブハウス
躯体に直付け金物で躯体から吊り、器具を固定する台数が決まっている/天井をすっきり見せたい店舗
ムービングヘッド単体。U字のヨークと、底面の取り付け金具が見える
器具の底にある金具でクランプや金物に留めます。器具1台の重さがそのまま天井にかかるので、留める先が何であるかが問題になります。

どちらでも落下防止ワイヤは必ず併用します。本体の固定とは別に、もう一本の道を作っておくという考え方です。ここは吊り方と落下で詳しく書きました。

3.つなぐ

つなぐものは電源と信号(DMX)の2系統です。まったく別のものなので、経路も別に考えます。

用語の意味は用語のページにまとめてあります。

4.動かす——「型」を作って引き渡す

スタッフが毎晩ゼロから卓を操作する店は、まずありません。

当社が納品時にやっているのは、あらかじめ何通りかの演出パターンを組んでおいて、その日の空気に合わせて呼び出せる状態にすることです。ボタン1つで場面が変わる形にしておく、と言い換えてもいい。

組む「型」は、だいたいこういう単位です——開店から早い時間の落ち着いた場面/盛り上がる時間帯/シャンパンなどの一発/照明を締める場面。店の営業の流れに合わせて作るので、同じ機材でも店ごとに中身は変わります。

卓は、据え置きの調光卓のほか、機種によってはタブレットやスマートフォンから操作できるものもあります。誰が触るのか——店長だけか、その日の若手も触るのか——で選び方が変わります。触る人が多いほど、ボタンは少ないほうがいい。

※ 引き渡しのときに操作の説明をします。難しい設定を店に残さないのが方針です。

5.引き渡しのあと

照明は入れて終わりではありません。夜の店の機材は、劇場やホールより酷使されます(毎日、長時間、動かし続ける)。

起きること当社の対応
故意でない破損・誤操作による故障交換対応(保証に含みます。物損は対象外)
LEDが徐々に暗くなる明るさの低下を見て約2年を目安に交換。光源そのものの寿命は機種の公称で約50,000時間あるので、切れる前に、暗くなった時点で替えます
動きが鈍い・向きがずれる点検で調整。機構部は消耗します
レンズの曇り・埃スモークを使う店ほど汚れます。清掃で明るさが戻ることがあります

この「入れたあと」の費用と手間をどう持つかが、買うのとリースの分かれ目です。そこは買うのとリースはどっちが得かで、当社に不利な部分も含めて書きました。

6.誰がやる工事なのか

分電盤や既設回路に触る工事は、電気工事士の資格を持つ者でなければ行えません。器具を吊るのも、天井の構造を判断する話なので内装の範囲を越えます。

当社は照明の会社であると同時に電気工事の会社です。機材だけをお貸しする形をとっていないのは、この部分を切り離すと、責任の所在が曖昧になるからです。月額に工事費・電材・設定費・機材取付費が含まれているのも同じ理由です。

7.次に読むもの

工程・保証の内容は当社が実際に行っているものです。写真は当社が施工した実店舗のものです。書いているのは、クラブ・ホストクラブ・ラウンジ・ライブハウスにステージ照明を実際に施工している電気工事会社(日本ネオン株式会社)です。

吊り方と落下 →機材一覧を見る

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