いちばん多い質問は「うちは何台くらいですか」です。答えは床面積の割り算では出ません。天井の高さと、出したい絵で決まります。
当社が実際に組んでいる構成のひとつが、40坪のラウンジ(14.5m × 9.1m)にムービングライト12台+スモークマシン2台です。床面積でならすと1台あたり約11㎡。ただし、この数字を持って「60坪だから18台」と計算しても、たいてい合いません。
理由は単純で、ムービングライトは床を照らす道具ではないからです。ふつうのダウンライトなら「何㎡に何台」で足ります。ムービングライトが作るのは空中の光の筋と、動きです。見せたい場所(フロアの中央か、ボックス席の上か、ステージか)に光が届くかどうかで決まります。同じ40坪でも、細長い部屋と正方形の部屋では置き方も台数も変わります。
光の筋を見せるには、光が走る距離が要ります。天井が低い店で大出力の機種を使うと、絵として成立する前に床へ着いてしまい、まぶしいだけになります。逆に天井が高い会場で小型機だけを並べると、光が客席まで届かず、天井付近でぼんやり終わります。
| 天井 | 向くもの | 考え方 |
|---|---|---|
| 〜2.5m前後 (ラウンジ・小箱) | ミニムービングヘッド/エフェクト系 | 大きい1台より、小さい機種を数で。低い位置で動きを作る。器具の存在感も抑えられる |
| 2.5〜4m (クラブ・ホストクラブ) | 150W級のムービングライト/ビーム | いちばん機種が豊富な帯。ビームで柱を立てる絵が成立するのはここから |
| 4m以上 (ライブハウス・ホール) | 大型ビーム/ウォッシュ/レーザー | 距離があるほど細い光が生きる。当社のビーム機は最小1.5°で、10m先でも直径26cm(2×10m×tan0.75°) |
天井の高さは、器具そのものより先に決まっている条件です。ここを外すと、どれだけ良い機種を選んでも絵になりません。
同じ台数でも、置き方で性格が変わります。
| 置き方 | 出る絵 | 向く店 |
|---|---|---|
| 左右対称に並べる | 動きがそろい、ステージが主役になる | ショーやDJブースを見せる店 |
| フロアを囲むように散らす | どこに立っても光の中にいる | ダンスフロア・立ち飲みの箱 |
| 客席の上に列で通す | 頭上を光が走る。席にいる人に効く | ボックス席のあるラウンジ・ホストクラブ |
当社の40坪の例では、フロアの上に3列で通し、ボックス席側にも回しています。「全部フロアの真ん中に集める」より、席から見上げたときに何かが動いているほうが、営業中の効き目は大きいと考えています。
「12台入れたのに、思っていた画にならない」——原因はたいてい台数ではありません。
①スモークが無い。光は空気中に粒が無ければ見えません。ビーム系を入れて空中の筋を出したいなら、スモークかヘイズは装備の一部です。台数を増やすより、まずここです(なぜスモークが要るのか)。
②電源が足りない。台数が増えると容量が要ります。しかも電源を入れた瞬間だけ大きな電流が流れるので、定格の足し算では足りません。回路の分け方まで含めて設計します。
③吊れない。ムービングライトは小型でも正味3.6kg、当社で最も重い大型ウォッシュは正味15kgです。石膏ボードの天井材に直接ぶら下げることはできず、躯体から取るのが原則。「天井に付けられるか」は、機種選びより先に見ます。
※ スモークを常用する店は、火災報知器の感知器の種別が関わってきます。スモークマシンと火災報知器で条文から説明しています。
1種類だけで組むことは、ほとんどありません。役割の違う光を混ぜるのがふつうです。
| 系統 | 役割 | 入れる目安 |
|---|---|---|
| ビーム | 空中に光の柱を立てる | 絵の主役。スモークとセット |
| ウォッシュ | 面を色で塗る | 店全体の色を決める。スモークが無くても効く |
| エフェクト | 細かい光を散らす | 賑やかさの足し算。安価で数を入れやすい |
| レーザー | 鋭い線と面 | ここぞの一発。使い方に注意が要る |
| スモーク | 光を見せる | ビーム・レーザーを入れるなら必須 |
違いはスポット・ウォッシュ・ビームの違いで写真つきで説明しています。当社の取扱は11系統 269機種で、この中から店に合う組み合わせを選びます。
順番は絵 → 置き方 → 台数です。台数から入ると、たいてい合いません。