天井に付いている小さな丸い灯りと、非常口の緑の灯り。どちらも「非常の時の灯り」ですが、根拠の法律も、役目も、明るさの決まりも別です。演出のために照明を足したり店を暗くしたりするとき、この2つを混ぜて考えると話がずれます。
このページでは、非常用の照明装置(いわゆる非常灯)を建築基準法施行令126条の4・126条の5、誘導灯を消防法施行令26条の原文(e-Gov 法令検索)で並べます。
当社は施工の段階で、非常用の照明装置の真下を器具やトラスで覆わない・その回路に触らない・誘導灯の前後も塞がない、の3点を確かめてから、ムービングライトの位置を決めます(4章)。現地調査から引き渡しまでは設置と運用、機種は機材一覧(11系統 269機種)にあります。 店に合わせた目安はAIに相談する
| 非常用の照明装置(非常灯) | 誘導灯 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 建築基準法施行令126条の4(設置)・126条の5(構造) | 消防法施行令26条、消防法施行規則28条の3 |
| 原文が求めること | 「床面において一ルクス以上の照度を確保することができるもの」 | 避難口誘導灯は「避難口である旨を表示した緑色の灯火」、通路誘導灯は「避難の方向を明示した緑色の灯火」 |
| ひとことで言うと | 停電しても床が見える明るさを残す灯り | 出口の場所と向きを示す灯り |
| 電源 | 「予備電源を設けること」(126条の5第1号ハ) | 「誘導灯には、非常電源を附置すること」(令26条2項4号) |
| ふだん | 条文は非常の場合の照度を定める | 常時点灯が原則(規則28条の3第4項2号) |
| 相談先 | 建築士・特定行政庁(建築の窓口) | 所轄の消防署・消防設備の業者 |
建築基準法施行令126条の4は、次の場所に非常用の照明装置を設けると定めています。原文の要旨です。
| 要る場所(126条の4) | 店に引き寄せると |
|---|---|
| 「法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室」 | (一)項=劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場など。(四)項=キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場など(建築基準法 別表第一)。(四)項に類するものとして待合、料理店、飲食店など(施行令115条の3第3号) |
| 「階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室」 | 店の用途に関係なく、建物の大きさで当たる |
| 「延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室」 | 同上 |
| 窓その他の開口部を有しない居室(施行令116条の2第1項1号に当たるもの) | 条文が定める窓・開口部を持たない部屋 |
| 「これらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路」 | 客席から出口までの道。採光上有効に直接外気に開放された通路は除く |
※ ただし書で、避難階などの居室で避難上支障がないものとして国土交通大臣が定めるものなどは除かれます(126条の4第1項4号)。自分の店のどの部屋に要るかは、建物全体の図面で決まる話で、建築士と建築の窓口の領分です。
| 号 | 原文 |
|---|---|
| 1号イ | 「照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること」 |
| 1号ロ | 照明器具の構造は「火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないもの」として国土交通大臣が定めた構造方法 |
| 1号ハ | 「予備電源を設けること」 |
| 2号 | または、停電した場合に自動的に点灯し、床面で1ルクス以上を確保できるものとして国土交通大臣の認定を受けたもの |
「直接照明」と書かれています。天井や壁に光を当てて回す間接照明の明るさではなく、器具から床へ直接届く光で1ルクス、という決まりです。
ムービングライトやスモークは、非常用の照明装置の代わりにはなりません。予備電源を持たず、停電すれば消えるからです。当社が施工の段階で確かめているのは、次の点です。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 非常用の照明装置の真下を、器具やトラスで覆わない | 条文は直接照明で床面1ルクス。器具と床のあいだを遮ると、床に届く光が減る |
| 非常用の照明装置の回路・配線に触らない | 予備電源を持つ別系統の設備。照明の工事で手を入れる対象ではない |
| 誘導灯の前後も塞がない | 誘導灯の周囲に、さえぎる灯火を設けない決まりがある(誘導灯は消していいか) |
| 天井を作り替える・間仕切りを足すなら、先に建築士へ | 居室の形が変わると、非常用の照明装置の要る場所も変わり得る |
※ この表は条文の文言そのものではなく、126条の5と消防法施行規則28条の3の趣旨に沿って当社が施工で確かめていることです。
自分の店の非常灯の位置で考えると:AIに相談する(店の写真で目安) 誘導灯の決まりは誘導灯は消していいか
暗くして営業する店では、別々の法律から明るさの数字が出てきます。混ぜずに、それぞれ確かめます。
| 数字 | 何の明るさか | 根拠 |
|---|---|---|
| 1ルクス以上 | 非常用の照明装置が確保する床面の照度 | 建築基準法施行令126条の5 |
| 0.2ルクス以上 | 客席誘導灯による、客席内の通路の床面の照度(令別表第一(一)項の用途) | 消防法施行令26条2項3号・同施行規則28条 |
| 5・10・20ルクス | 営業中の客室の照度(業態で決まる) | 風営法(風営法の照度) |
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「非常灯と誘導灯は同じもの」 | 非常用の照明装置は建築基準法、誘導灯は消防法。役目も別(床を照らす/出口を示す) |
| 「誘導灯が付いているから非常灯は要らない」 | 別の法律の別の設備。片方でもう片方の代わりにはならない |
| 「間接照明で十分明るいから大丈夫」 | 非常用の照明装置は直接照明で床面1ルクス以上、予備電源つき(126条の5) |
| 「小さなバーには関係ない」 | バー・ナイトクラブ・キャバレーは法別表第一(い)欄(四)項の用途、飲食店はそれに類するもの(施行令115条の3)。要るかどうかは建物と部屋の条件で決まる |
| 「演出用の照明を非常時の灯りに使えばいい」 | 予備電源が無く停電で消える。非常用の照明装置の構造の決まりも満たさない |
暗めの演出と非常灯・誘導灯の両立はAIに相談する(この話の続きから) 図面や写真があればお問い合わせフォームから担当者へ。