誘導灯は消していいか消灯できる3つの条件と、照明で誘導灯をさえぎらない決まり

ムービングライトの光をきれいに見せたくて店を暗くすると、非常口の緑の誘導灯だけが明るく残ります。あれを消せないか、という相談は施工の現場でよく受けます。答えは、原則は「常時点灯」で、消せるのは条件が全部そろった時だけです。

このページでは、その条件を消防法施行令26条と消防法施行規則28条の3の原文(e-Gov 法令検索)で確かめます。あわせて、照明を足す側が気をつける決まり——誘導灯をさえぎる・まぎらわしい灯火を置かない——も条文で見ます。

当社は、避難口と誘導灯の位置を図面で見てから、床に落とす光の色と向きを決めます(3章)。天井に埋め込む小さな照明はミニムービングヘッド(開口23cm)、ほかの機材は機材一覧(11系統 269機種)にあります。 店に合わせた目安はAIに相談する

1.誘導灯は「常時点灯」が原則

誘導灯を付けなければならない建物は、消防法施行令26条1項が用途で決めています。避難口誘導灯と通路誘導灯は、令別表第一の(一)項から(四)項までなどに当たる防火対象物に付けます。照明の相談が多い業態は、この範囲に入る項に並んでいます。

令別表第一の項原文の用途
(一)項イ劇場、映画館、演芸場又は観覧場
(二)項イキャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
(二)項ロ遊技場又はダンスホール
(三)項ロ飲食店

※ 自分の店がどの項に当たるかは、建物と使い方で決まり、最終的には所轄の消防署の判断です。この表は原文の言葉を並べたもので、業態ごとの当てはめを示すものではありません。

そのうえで、消防法施行規則28条の3第4項2号は、避難口誘導灯と通路誘導灯(階段又は傾斜路に設けるものを除く)について、次のように定めています。

「常時、第一項に掲げる明るさで点灯していること。」(消防法施行規則28条の3第4項2号)

「常時」です。営業中に暗くしたいから、という理由だけでは消せません。

2.消してよいのは、3つがそろった時だけ

同じ号に、ただし書があります。消灯できるのは、防火対象物が無人の時か、または次の条件が全部そろった時です。

条件原文の要旨(規則28条の3第4項2号ただし書)
①決まった場所であることイ「外光により避難口又は避難の方向が識別できる場所」/ロ「利用形態により特に暗さが必要である場所」/ハ「主として当該防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供する場所」のどれか
②火事の時は点くこと「自動火災報知設備の感知器の作動と連動して点灯」する
③使い方に合わせて点くこと「当該場所の利用形態に応じて点灯するように措置されている」
3つ
そろって初めて消灯
決まった場所+火災報知設備との連動+使い方に応じた点灯。一つでも欠けたら常時点灯(規則28条の3第4項2号)
1ルクス
階段の通路誘導灯
踏面・踊場の中心線の照度を1ルクス以上(同4号)。階段と傾斜路は2号の消灯の対象から外れている
20分
非常電源
停電しても誘導灯を有効に20分間点ける容量(同10号・一部の建物は60分)

店の演出で問題になるのは、たいてい②と③です。誘導灯のスイッチを切るだけでは、火事の時に自動で点く仕掛けがありません。消灯の仕組みを入れるなら、自動火災報知設備と連動させる工事と、どういう時に点けるのかの取り決めが要ります。どの場所が「特に暗さが必要」に当たるかは条文に例が書かれておらず、所轄の消防署と相談して決める話です。

3.照明を足す側の決まり——誘導灯をさえぎらない

誘導灯を消すかどうかとは別に、照明を足す側に直接かかる決まりがあります。

「誘導灯の周囲には、誘導灯とまぎらわしい又は誘導灯をさえぎる灯火、広告物、掲示物等を設けないこと。」(消防法施行規則28条の3第4項8号)

「灯火」と書いてあります。照明器具そのものが対象です。施工の段階で当社が避けているのは、次のような置き方です。

避けている置き方当たり得る言葉(8号)
誘導灯の真下や真横に、器具や吊りのトラスを置く誘導灯を「さえぎる」
誘導灯のすぐ近くに、緑の光や光る看板を置く誘導灯と「まぎらわしい」
避難口の前を、ムービングライトの光で常に強く照らす誘導灯の表示面が見えにくくなる置き方は避ける(当社の施工の判断)

※ 3行目は条文の文言ではなく、8号の趣旨に沿って当社が施工で避けている置き方です。どこまでが「まぎらわしい」「さえぎる」に当たるかの判断は所轄の消防署の領分です。

実店舗の床に、緑色の丸い模様がいくつも落ちている。天井にはムービングヘッドが並ぶ
当社が施工した店。床に落とす光の色と向きは、避難口と誘導灯の位置を図面で見てから決めます。

自分の店の誘導灯の位置で考えると:AIに相談する(店の写真で目安) 天井に埋め込む小さな照明はミニムービングヘッド(開口23cm)

4.劇場型の客席には「客席誘導灯」もある

令別表第一の(一)項(劇場・映画館・演芸場・観覧場、公会堂・集会場)には、もう一つ客席誘導灯が要ります(令26条1項3号)。明るさの決まりは次のとおりです。

「客席誘導灯は、客席に、総務省令で定めるところにより計つた客席の照度が〇・二ルクス以上となるように設けること。」(消防法施行令26条2項3号)。測る場所は「客席内の通路の床面における水平面」です(消防法施行規則28条)。

客席を真っ暗にして見せる演出でも、通路の床は0.2ルクス以上が残る、ということです。風営法の店の照度(5ルクス・10ルクス・20ルクス)とは別の法律の、別の数字です。混ぜずに、両方を確かめます。

5.よくある誤解

誤解実際
「営業中は暗くしたいから、誘導灯は消してよい」原則は常時点灯。消せるのは決まった場所で、火災報知設備との連動と使い方に応じた点灯の措置がある時だけ(規則28条の3第4項2号)
「スイッチで消して、火事の時に点ければいい」人が点けるのではなく、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して点灯することが条件
「階段の誘導灯も一緒に消せる」2号の消灯の対象は階段・傾斜路を除いた誘導灯。階段の通路誘導灯は照度1ルクス以上(同4号)
「誘導灯の前に照明を吊っても、点いていれば問題ない」誘導灯をさえぎる灯火や、まぎらわしい灯火を周囲に設けないこと(同8号)
「風営法の照度を守っていれば、消防の明るさも足りている」別の法律の別の決まり。客席誘導灯は通路の床面で0.2ルクス以上(令26条2項3号・規則28条)

6.当社がやっていること

当社は誘導灯の工事や消防の届出を代わりに行う会社ではありません。ステージ照明を据え付ける側として、照明の計画を作るときに次の順で確かめます。

順番やること
1.現地調査避難口・誘導灯・階段の位置を図面と現地で見る
2.器具の位置を決める誘導灯の前後に器具やトラスを置かない。避難口の前を光で塞がない
3.色と向きを決める誘導灯の近くに緑の光を当て続けない
4.消灯を望まれた場合建物の管理会社と消防設備の業者、所轄の消防署に相談していただく。照明の工事の側で誘導灯の配線には触らない

スモークを焚く店なら、煙感知器の種別と消防署への届出も同じ時期に確かめることになります。誘導灯と合わせて、消防の話は開業前にまとめて相談しておくと手戻りが少なくなります。

暗くしたい席と誘導灯の位置がぶつかるかは、図面で見当がつきます。AIに相談する(この話の続きから) 図面や写真があればお問い合わせフォームから担当者へ。

7.次に読むもの

最終更新:2026年10月18日。条文は、e-Gov 法令検索の消防法施行令(26条・別表第一)と消防法施行規則(28条・28条の3)の原文を確認して書いています。自分の店がどの項に当たるか、どの場所で誘導灯を消灯できるか、どの照明が「まぎらわしい」「さえぎる」に当たるかの判断は所轄の消防署の領分です。このページは照明を据え付ける側からの一般的な説明で、届出や工事の可否を保証するものではありません。書いているのは、クラブ・ホストクラブ・ラウンジ・ライブハウスにステージ照明を実際に施工している電気工事会社(日本ネオン株式会社)です。

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