開店日が決まると、照明は「内装の最後に付ければいい」と考えがちです。ところが許可が要る業態では、照明まで付け終わった店を警察に見てもらうところから、審査の日数が数え始まります。照明が遅れると、そのぶん開店が後ろにずれます。
このページでは、開店日から逆に数えて「照明をいつまでに決め、いつまでに付け終えるか」を、条文と役所が公表している日数だけで並べます。例は東京(警視庁・東京消防庁)です。道府県で窓口や細かい扱いは変わるので、最後は必ず所轄で確かめてください。
許可が要る店は、開店のおよそ3か月前に照明を付け終えておきます(3章)。当社は物件を決める前後の現地調査で、天井の高さ・吊りの下地・電気の容量を見て、入る台数と位置を決めます。候補の機種は機材一覧(11系統 269機種)にあります。 店に合わせた目安はAIに相談する
日数の話の前に、ここが決まらないと逆算ができません。風営法は、店の中身によって許可が要る店・届出で済む店・どちらも要らない店に分けています。照明の数字(照度の下限)もこの区分で決まります。
| 店の実態 | 法律の言葉 | 手続き | 照度の下限 |
|---|---|---|---|
| ホストクラブ・キャバクラ・ラウンジ(接待がある) | 風俗営業(1号) | 許可(法3条) | 5ルクス(規則31条1号) |
| クラブ(0時を過ぎても踊らせて酒を出す) | 特定遊興飲食店営業 | 許可(法31条の22) | 10ルクス(規則96条) |
| バー(0時を過ぎて酒を出す・接待も遊興もない) | 深夜における酒類提供飲食店営業 | 届出(法33条) | 20ルクス(規則101条) |
| ライブハウス・バー(0時までに閉める・接待なし) | — | 風営法の許可・届出は無し | — |
| どの業態でも、店内を10ルクス以下にして営むなら | 風俗営業(2号) | 許可 | 法2条1項2号の定義そのもの |
最後の行は見落とされやすいところです。風営法は2号営業を「営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの」と、暗さそのもので定義しています。0時に閉めるライブハウスでも、客席を暗く落として営業するなら、手続きの要らない店ではなくなります。暗さの数字の読み方は風営法の照度にまとめました。
※ どの区分に当たるかを決めるのは公安委員会(窓口は警察署)です。この表は、当社が施工でよく出会う業態を法律の言葉に置き直したものです。
警視庁は、風俗営業の許可と特定遊興飲食店営業の許可の審査基準で、日数をこう書いています。原文のままです。
「申請時期等により処理に要する期間が変動し、個別具体的な処理を要するため、標準処理期間を定めることはできないが、55日以内を目安とする(行政庁の休日は含まない。)」(警視庁 審査基準・生活安全部関係「風俗営業の許可」「特定遊興飲食店営業の許可」。申請先は「営業所を管轄する警察署の生活安全課」)
もう一つ大事な点があります。同じ55日を定めている長野県警察の公表文は、そのあとに条件を付けています。
「ただし、申請が到達した時点において、当該申請に係る営業所が存在し、実地調査が可能な場合……に限る。」(長野県警察 審査基準・標準処理期間「風俗営業の許可」「特定遊興飲食店営業の許可」)
つまり、55日は店が出来上がっていて、見に来てもらえる状態で申請して初めて当てはまる日数です。内装の途中で書類だけ出しても、この目安の外になります。
照明がなぜ関係するのか。1号営業の許可では、構造及び設備の技術上の基準として「照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること」が求められています(規則7条)。実地調査では席ごとに照度計が当てられます。照明が付いていない店は、この基準に合っているかを確かめようがありません。
許可が要る店の場合です。上から順に、開店日から遠いものを並べています。
| いつまでに | 手続き・作業 | 照明の側で決めておくこと | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 物件を決める前 | 下見 | 天井の高さ、器具を吊れる下地があるか、電気の容量が足りるか | —(選び方・吊り方) |
| 内装工事に入る7日前 | 防火対象物工事等計画届出(消防署) | 器具の位置が入った内装の図面。模様替えや間仕切り変更が対象 | 東京都火災予防条例56条(東京消防庁の案内) |
| 内装工事の間 | 照明の取付と配線 | 席ごとに照度の下限を割らない明るさを残せるか | 規則7条(1号営業の場合) |
| 工事が終わってすぐ | 許可の申請(警察署の生活安全課) | 照明を付けた状態で実地調査を受ける | 警視庁 審査基準(55日以内が目安・休日を除く) |
| 開店のおおむね10日前 | スモークを焚くなら「禁止行為の解除承認」の申請(消防署) | 吹き出しの位置と消火器の位置 | 東京消防庁の案内(消防署への届出) |
| 使用開始の7日前 | 防火対象物使用開始届出(消防署) | — | 東京都火災予防条例56条の2(東京消防庁の案内) |
許可の目安は休日を除いた55日です。開店日から逆に数えると、照明を付け終えておくのはおよそ3か月前になります(11週間に、祝日と申請の準備の日数が乗るため)。内装会社の工程表で、照明の取付が開店直前に置かれていたら、そこを一度疑ってください。
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0時を過ぎて酒を出すバー(接待も遊興もない店)は、許可ではなく届出です。期限は施行規則に書いてあります。
「第一項の届出書は、深夜において当該酒類提供飲食店営業を開始しようとする日の十日前までに提出しなければならない。」(風営法施行規則103条3項)
届出には、審査の日数も実地調査の待ちもありません。ただし照度の下限は20ルクス(規則101条)で、この表の中ではいちばん明るくしておく必要があります。暗い雰囲気で作り込んだあとに20ルクスに届かないと、照明をやり直すことになります。届出は10日前でも、照明の明るさは設計の段階で決めておく話です。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「照明は内装の最後、開店直前に付ければいい」 | 許可が要る店では、照明まで付いた店で実地調査ができる状態から55日の目安が当てはまる(長野県警察の公表文) |
| 「55日=2か月弱」 | 行政庁の休日を含まない(警視庁)。土日祝を除いて数えるので、暦ではおよそ11週間 |
| 「書類を先に出しておけば早く始まる」 | 営業所が存在し実地調査ができる時点が条件。工事中に出しても目安の外 |
| 「消防は開店前に1回届ければいい」 | 内装工事の7日前(工事等計画)と使用開始の7日前(使用開始)の2本。スモークを焚くなら承認がもう1本 |
| 「0時に閉めるライブハウスは風営法と無関係」 | 店内を10ルクス以下にして営むなら、時間に関係なく風俗営業2号(法2条1項2号) |
| 「バーは届出だから照明は自由」 | 深夜の酒類提供の店は20ルクスが下限(規則101条)。いちばん明るさを求められる |
許可を申請するのは店です。当社が代わりに許可を取ることはできませんし、許可を保証することもできません。当社が受け持つのは、申請の日に照明が付け終わっていて、照度の数字を説明できる状態を作ることです。
| 時期 | 当社がやること |
|---|---|
| 物件を決める前後 | 現地調査で天井の高さ・吊りの下地・電気の容量を見て、入る台数と位置を決める(候補の機種は機材一覧) |
| 内装工事の前 | 器具の位置と配線を内装会社の図面に入れる。工事等計画の届出に使う図面と食い違わないようにする |
| 内装工事の間 | 照明と配線の工事(当社は電気工事会社です) |
| 申請の前 | 照明を入れた状態で、席ごとに照度計で実測する。図面の計算だけで決めない |
正直に書くと、いちばん困るのは「開店日だけ先に決まっていて、照明の相談が最後に来る」ケースです。そこから55日を数えると、どうやっても間に合わないことがあります。開店日を決める前に、照明の工事がいつ終わるかを一緒に数えてください。
オープン日が決まっているなら、照明・許可・消防の順番はAIに相談する(この話の続きから) 図面や写真があればお問い合わせフォームから担当者へ。