クラブ・バー・ライブハウスの開業と照明許可の55日と消防の7日前から逆算する順番

開店日が決まると、照明は「内装の最後に付ければいい」と考えがちです。ところが許可が要る業態では、照明まで付け終わった店を警察に見てもらうところから、審査の日数が数え始まります。照明が遅れると、そのぶん開店が後ろにずれます。

ラウンジの天井にムービングヘッドが並び、紫の光が店内を染めている。手前にはボックス席とシャンデリア
当社が施工したラウンジ。許可の審査では、この状態の店内が見られます。

このページでは、開店日から逆に数えて「照明をいつまでに決め、いつまでに付け終えるか」を、条文と役所が公表している日数だけで並べます。例は東京(警視庁・東京消防庁)です。道府県で窓口や細かい扱いは変わるので、最後は必ず所轄で確かめてください。

許可が要る店は、開店のおよそ3か月前に照明を付け終えておきます(3章)。当社は物件を決める前後の現地調査で、天井の高さ・吊りの下地・電気の容量を見て、入る台数と位置を決めます。候補の機種は機材一覧(11系統 269機種)にあります。 店に合わせた目安はAIに相談する

1.まず、自分の店は「許可」か「届出」か「どちらも要らない」か

日数の話の前に、ここが決まらないと逆算ができません。風営法は、店の中身によって許可が要る店・届出で済む店・どちらも要らない店に分けています。照明の数字(照度の下限)もこの区分で決まります。

店の実態法律の言葉手続き照度の下限
ホストクラブ・キャバクラ・ラウンジ(接待がある)風俗営業(1号)許可(法3条)5ルクス(規則31条1号)
クラブ(0時を過ぎても踊らせて酒を出す)特定遊興飲食店営業許可(法31条の22)10ルクス(規則96条)
バー(0時を過ぎて酒を出す・接待も遊興もない)深夜における酒類提供飲食店営業届出(法33条)20ルクス(規則101条)
ライブハウス・バー(0時までに閉める・接待なし)—風営法の許可・届出は無し—
どの業態でも、店内を10ルクス以下にして営むなら風俗営業(2号)許可法2条1項2号の定義そのもの

最後の行は見落とされやすいところです。風営法は2号営業を「営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの」と、暗さそのもので定義しています。0時に閉めるライブハウスでも、客席を暗く落として営業するなら、手続きの要らない店ではなくなります。暗さの数字の読み方は風営法の照度にまとめました。

※ どの区分に当たるかを決めるのは公安委員会(窓口は警察署)です。この表は、当社が施工でよく出会う業態を法律の言葉に置き直したものです。

2.許可は「55日以内が目安」——ただし数え始めに条件がある

警視庁は、風俗営業の許可と特定遊興飲食店営業の許可の審査基準で、日数をこう書いています。原文のままです。

「申請時期等により処理に要する期間が変動し、個別具体的な処理を要するため、標準処理期間を定めることはできないが、55日以内を目安とする(行政庁の休日は含まない。)」(警視庁 審査基準・生活安全部関係「風俗営業の許可」「特定遊興飲食店営業の許可」。申請先は「営業所を管轄する警察署の生活安全課」)

55日
以内が目安
行政庁の休日を含まない。土日祝を除いて数えるので、暦ではおよそ11週間
7日前
消防の届出が2本
内装工事の着手前と使用開始前(東京都火災予防条例56条・56条の2)
5ルクス
を保てる設備か
1号営業の許可の条件(規則7条)。照明は審査の対象そのもの

もう一つ大事な点があります。同じ55日を定めている長野県警察の公表文は、そのあとに条件を付けています。

「ただし、申請が到達した時点において、当該申請に係る営業所が存在し、実地調査が可能な場合……に限る。」(長野県警察 審査基準・標準処理期間「風俗営業の許可」「特定遊興飲食店営業の許可」)

つまり、55日は店が出来上がっていて、見に来てもらえる状態で申請して初めて当てはまる日数です。内装の途中で書類だけ出しても、この目安の外になります。

照明がなぜ関係するのか。1号営業の許可では、構造及び設備の技術上の基準として「照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること」が求められています(規則7条)。実地調査では席ごとに照度計が当てられます。照明が付いていない店は、この基準に合っているかを確かめようがありません。

営業前のラウンジ。ボックス席のテーブルの上に照度計が受光部を上に向けて置かれ、天井にはムービングヘッドが4台並んでいる
イメージ。照度はテーブルの上面で、受光部を上に向けて測ります(測る場所は風営法の照度)。

3.開店日から逆に数える——照明はいつまでに何を決めるか

許可が要る店の場合です。上から順に、開店日から遠いものを並べています。

いつまでに手続き・作業照明の側で決めておくこと出どころ
物件を決める前下見天井の高さ、器具を吊れる下地があるか、電気の容量が足りるか—(選び方・吊り方)
内装工事に入る7日前防火対象物工事等計画届出(消防署)器具の位置が入った内装の図面。模様替えや間仕切り変更が対象東京都火災予防条例56条(東京消防庁の案内)
内装工事の間照明の取付と配線席ごとに照度の下限を割らない明るさを残せるか規則7条(1号営業の場合)
工事が終わってすぐ許可の申請(警察署の生活安全課)照明を付けた状態で実地調査を受ける警視庁 審査基準(55日以内が目安・休日を除く)
開店のおおむね10日前スモークを焚くなら「禁止行為の解除承認」の申請(消防署)吹き出しの位置と消火器の位置東京消防庁の案内(消防署への届出)
使用開始の7日前防火対象物使用開始届出(消防署)—東京都火災予防条例56条の2(東京消防庁の案内)
内装工事中のテナント。コンクリートの天井に空調のダクトと軽鉄の下地が吊られ、照明器具はまだ無く、配線が束ねて垂れている。床には脚立と段ボール
イメージ。内装工事の間は、天井の下地と配線がむき出しのうちに器具の位置を決めます。

許可の目安は休日を除いた55日です。開店日から逆に数えると、照明を付け終えておくのはおよそ3か月前になります(11週間に、祝日と申請の準備の日数が乗るため)。内装会社の工程表で、照明の取付が開店直前に置かれていたら、そこを一度疑ってください。

自分の店の開店日から考えると:AIに相談する(店の写真で目安) 月額と初めの費用は料金表

4.バーは「届出」——10日前でも照明は先に済ませる

0時を過ぎて酒を出すバー(接待も遊興もない店)は、許可ではなく届出です。期限は施行規則に書いてあります。

「第一項の届出書は、深夜において当該酒類提供飲食店営業を開始しようとする日の十日前までに提出しなければならない。」(風営法施行規則103条3項)

届出には、審査の日数も実地調査の待ちもありません。ただし照度の下限は20ルクス(規則101条)で、この表の中ではいちばん明るくしておく必要があります。暗い雰囲気で作り込んだあとに20ルクスに届かないと、照明をやり直すことになります。届出は10日前でも、照明の明るさは設計の段階で決めておく話です。

5.よくある誤解

誤解実際
「照明は内装の最後、開店直前に付ければいい」許可が要る店では、照明まで付いた店で実地調査ができる状態から55日の目安が当てはまる(長野県警察の公表文)
「55日=2か月弱」行政庁の休日を含まない(警視庁)。土日祝を除いて数えるので、暦ではおよそ11週間
「書類を先に出しておけば早く始まる」営業所が存在し実地調査ができる時点が条件。工事中に出しても目安の外
「消防は開店前に1回届ければいい」内装工事の7日前(工事等計画)と使用開始の7日前(使用開始)の2本。スモークを焚くなら承認がもう1本
「0時に閉めるライブハウスは風営法と無関係」店内を10ルクス以下にして営むなら、時間に関係なく風俗営業2号(法2条1項2号)
「バーは届出だから照明は自由」深夜の酒類提供の店は20ルクスが下限(規則101条)。いちばん明るさを求められる

6.当社がやっていること

店舗の天井。エアコンの吹き出し口とリング状の照明、そして右手にムービングヘッドが取り付けられている
空調・既設の照明・ムービングヘッドを、同じ天井の上で納めます。

許可を申請するのは店です。当社が代わりに許可を取ることはできませんし、許可を保証することもできません。当社が受け持つのは、申請の日に照明が付け終わっていて、照度の数字を説明できる状態を作ることです。

時期当社がやること
物件を決める前後現地調査で天井の高さ・吊りの下地・電気の容量を見て、入る台数と位置を決める(候補の機種は機材一覧)
内装工事の前器具の位置と配線を内装会社の図面に入れる。工事等計画の届出に使う図面と食い違わないようにする
内装工事の間照明と配線の工事(当社は電気工事会社です)
申請の前照明を入れた状態で、席ごとに照度計で実測する。図面の計算だけで決めない

正直に書くと、いちばん困るのは「開店日だけ先に決まっていて、照明の相談が最後に来る」ケースです。そこから55日を数えると、どうやっても間に合わないことがあります。開店日を決める前に、照明の工事がいつ終わるかを一緒に数えてください。

オープン日が決まっているなら、照明・許可・消防の順番はAIに相談する(この話の続きから) 図面や写真があればお問い合わせフォームから担当者へ。

7.次に読むもの

最終更新:2026年10月18日。日数と条文は、警視庁「審査基準(生活安全部関係)」の風俗営業の許可・特定遊興飲食店営業の許可、長野県警察「審査基準・標準処理期間」の同じ2件、東京消防庁「新たにテナントを使用する皆様へ」「防火対象物の使用開始の届出をしよう」、e-Gov 法令検索の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(2条・3条・31条の22・33条)と同施行規則(7条・31条・96条・101条・103条)の原文を確認して書いています。日数は役所が示している目安であって、許可が下りる日を約束するものではありません。個々の店がどの区分に当たるか、許可や承認が下りるかの判断は公安委員会と所轄の消防署の領分です。書いているのは、クラブ・ホストクラブ・ラウンジ・ライブハウスにステージ照明を実際に施工している電気工事会社(日本ネオン株式会社)です。

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