照明の工事に資格は要るか電気工事士が要る作業・要らない作業を、電気工事士法の条文で分ける

ムービングライトを買ってきて、店のスタッフで付けてもいいのか。内装屋さんに配線までお願いしていいのか。答えは「どこまでの作業か」で分かれます。器具をコンセントにつなぐところまでは資格が要らず、コンセントを増やす・電線どうしをつなぐところからは電気工事士の仕事です。

このページでは、その線がどこに引かれているかを、電気工事士法・同施行令・同施行規則の原文(e-Gov 法令検索)で確かめます。店でよくある作業を表にして、一つずつ条文に当てます。

当社は、資格の要る電気工事と取付まで月額に入れて据え付けます。照明の工事でたいてい問題になる、天井の近くにコンセントを新しく付ける・電線を延ばす作業(2章)も、この中に入ります。現地調査から引き渡しまでは設置と運用、機種は機材一覧(11系統 269機種)にあります。 店に合わせた目安はAIに相談する

1.法律は「電気工事」をどう決めているか

電気工事士法は、「電気工事」を次のように定義しています。原文のままです。

「この法律において『電気工事』とは、一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。」(電気工事士法2条3項)

そのうえで、電気工事士でなければ電気工事の作業に「従事してはならない」と定めています(同法3条1項・2項)。ただし、ここにも「保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く」という除外があります。つまり、資格が要らない作業には2種類あります。

資格が要らない理由どこに書いてあるか中身
そもそも「電気工事」に当たらない電気工事士法施行令1条(軽微な工事)コードを接続器につなぐ、器具の端子に電線をねじ止めする、ヒューズを付け外しする など6つ
電気工事ではあるが、資格の要る「作業」に当たらない電気工事士法施行規則2条(軽微な作業)規則2条が挙げる作業「以外」の作業。逆に言えば、挙げられた作業は資格が要る

2.店でよくある作業を、条文に当てる

店でやりたいこと資格出どころ(原文の要旨)
器具のコードに差込みプラグを付ける(600V以下)要らない施行令1条1号「差込み接続器…にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事」は軽微な工事
器具(配線器具を除く)の端子に電線をねじ止めする(600V以下)要らない施行令1条2号「電気機器…の端子に電線…をねじ止めする工事」は軽微な工事
ヒューズを付け替える(600V以下)要らない施行令1条3号
コンセントを壁や天井に新しく付ける・電線をつなぐ要る施行規則2条1項1号ホ「配線器具を造営材その他の物件に取り付け…又はこれに電線を接続する作業」
露出型のコンセント・スイッチを取り換えるだけ要らない同ホのかっこ書き「露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く」
電線どうしをつなぐ(延長や分岐)要る施行規則2条1項1号イ「電線相互を接続する作業」
天井裏や壁に電線を直接留める要る同ハ「電線を直接造営材その他の物件…に取り付け…る作業」
配線を電線管・ダクト・モールに収める要る同ニ「電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業」
分電盤(配電盤)を取り付ける要る同ヌ「配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業」

※ 施行規則2条2項は、一般用電気工作物等について、同条1項1号のイからヌまで(とヲ)と接地線の作業を、資格の要る作業として挙げています。表のイ・ハ・ニ・ホ・ヌはその中の主なものです。600Vは条文の「電圧六百ボルト以下で使用する」の線で、店のコンセント(100V・200V)はこの内側です。

1条
施行令の軽微な工事
コードを差込みプラグにつなぐ、器具の端子にねじ止め、など6つは「電気工事」から除かれる
ホ
コンセントの取付と接続
配線器具を取り付けて電線をつなぐのは資格の要る作業(施行規則2条1項1号ホ)
3万円
以下の罰金
資格なしで従事した場合は3月以下の拘禁刑又は3万円以下の罰金(法14条)

ムービングライトに引き寄せて言うと、器具を既にあるコンセントにつないで使うところまでは、店の側でもできる範囲です。ところが、器具を置きたい天井の近くにコンセントが無いことがほとんどで、そこにコンセントを新しく付ける・電線を延ばす瞬間に、資格の要る作業に入ります。照明の工事で「資格が要るかどうか」が問題になるのは、たいていこの一歩です。

3.ビル全体の受電で、要る資格の種類が変わる

電気工事士には第一種と第二種があり、扱える範囲が違います(電気工事士法3条)。

店の電気が当たるもの法律の言葉作業できる人出どころ
住宅や小さな店舗など一般用電気工作物等第一種または第二種電気工事士法2条1項・3条2項
一般用電気工作物等に当たらない設備のうち、最大電力500キロワット未満の需要設備自家用電気工作物第一種電気工事士法2条2項・3条1項
上のうち、電圧600V以下で使う部分の工事(電線路を除く)簡易電気工事第一種電気工事士に加え、認定電気工事従事者法3条4項・施行規則2条の3

自分の店がどちらに当たるかは、店の中を見ただけでは決まりません。ビルがどういう形で電気を受けているかで決まるので、ビルの管理会社か、ビルの電気設備を見ている電気主任技術者に確かめる話です。テナントの工事では、ここを最初に確かめておくと、来てもらう電気工事士の資格の種類で後から揉めずに済みます。

自分の店の工事で考えると:AIに相談する(店の写真で目安) 据え付けの流れは設置と運用

4.よくある誤解

誤解実際
「照明器具を付けるのは全部、電気工事士の仕事」コードを差込みプラグにつなぐ、器具の端子にねじ止めするのは軽微な工事として「電気工事」から除かれている(施行令1条1号・2号)
「コンセントを1個増やすくらいなら誰でもいい」配線器具を取り付けて電線をつなぐのは、資格の要る作業(施行規則2条1項1号ホ)
「延長コードを切ってつなげば長くできる」電線どうしをつなぐのは資格の要る作業(同イ)
「配線をモールに入れて見た目を整えるのは内装の仕事」電線を電線管・ダクトなどに収める作業は資格が要る(同ニ)
「第二種を持っている人ならどこでも工事できる」自家用電気工作物に当たる場合は、第一種(600V以下の部分は認定電気工事従事者も可)(法3条1項・4項)
「見つからなければ問題ない」資格なしで従事すると3月以下の拘禁刑又は3万円以下の罰金(法14条)。それ以前に、配線の不具合はブレーカーや発熱という形で店に返ってくる

5.当社がやっていること

ラウンジの天井にムービングヘッドが並び、紫の光が店内を染めている。手前にはボックス席とシャンデリア
当社が施工したラウンジ。天井の器具の近くまで電源を延ばすのは、電気工事士の作業です。

当社は電気工事会社で、リースに含まれる電気工事は有資格者が行います。店の方や内装会社に「ここまではやっておいてください」とお願いすることはありません。照明を入れるときの順番は次のとおりです。

順番やること
1.現地調査器具を付けたい位置と、いまあるコンセント・分電盤の位置を見る。ビルの受電の形を管理会社に確かめる
2.回路を決める器具の消費電力を足して、どの回路から取るかを決める(ブレーカーが落ちる原因)
3.電気工事天井の近くへのコンセントの増設・配線・回路の追加を、有資格者が行う
4.器具の取付器具を吊り、落下防止ワイヤを付ける(吊り方と落下防止)

正直に書くと、器具を既にあるコンセントにつなぐだけで済む店なら、電気工事そのものは要りません。ただ、天井にムービングライトを並べる店で、天井の近くに必要な数のコンセントが最初からある例は多くありません。どこまでが要る工事かは、現地を見て決めます。

その作業に資格が要るかはAIに相談する(この話の続きから) 図面や写真があればお問い合わせフォームから担当者へ。

6.次に読むもの

最終更新:2026年10月18日。条文は、e-Gov 法令検索の電気工事士法(2条・3条・14条)、電気工事士法施行令(1条)、電気工事士法施行規則(2条・2条の3)の原文を確認して書いています。個々の作業が資格の要る作業に当たるか、店の電気が一般用電気工作物等と自家用電気工作物のどちらに当たるかの最終的な判断は、現地を見た電気工事士・電気主任技術者や、所管の窓口の領分です。書いているのは、クラブ・ホストクラブ・ラウンジ・ライブハウスにステージ照明を実際に施工している電気工事会社(日本ネオン株式会社)です。

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