レーザー演出に資格や届出は要るかクラス4・3Bで店がやること(管理区域・保護めがね・健康診断)

「レーザーを入れるなら資格が要るのでは」「どこかに届け出るのでは」。よく聞かれますが、国がレーザーの扱いを示している文書を開くと、書いてあるのは資格や届出ではなく、機器のクラスごとに、店の側で整えることです。

このページでは、厚生労働省の通達「レーザー光線による障害の防止対策について」(昭和61年1月27日 基発第39号、平成17年3月25日 基発第0325002号で改正)の別紙「レーザー光線による障害防止対策要綱」の原文を確かめます。

クラス4・3Bの扱いが関わる当社のレーザーは、レーザーライト(全26機種)に0.5W〜30Wの出力ごとに並べています。 店に合わせた目安はAIに相談する

1.この要綱は誰のためのものか

項目原文
目的(要綱1)「レーザー機器を取り扱う業務又はレーザー光線にさらされるおそれのある業務(以下「レーザー業務」という。)に常時従事する労働者の障害を防止することを目的とする」
適用範囲(要綱3)「クラス1M、クラス2M、クラス3R、クラス3B及びクラス4のレーザー機器を用いて行うレーザー業務について適用する」
外れるもの(要綱3ただし書)「当分の間、医療用及び教育研究機関における教育研究用のレーザー機器を用いて行うレーザー業務については適用しない」
クラスの決め方(要綱2(5))「日本工業規格 C6802「レーザ製品の安全基準」の「8.クラス分け」による」

読み取れることは3つです。①守る相手は、店で働く人(操作する人・光にさらされるおそれのある人)。②当てはまるかどうかは機器のクラスで決まる。③外すと書かれているのは医療用と教育研究用で、演出用を外すとは書かれていません。

5クラス
要綱が当てはまる範囲
クラス1M・2M・3R・3B・4(要綱3)
0回
「届出」「免許」「資格」
要綱の全12ページに、この3つの語は出てこない(当社で全文を検索)
2つ
クラス4の目の検査
前眼部(角膜・水晶体)検査と眼底検査(別記Ⅰ3(6))。クラス3Bは前眼部まで

2.クラス4・3Bのレーザーに資格・届出は要るか

要綱が求めているのは資格ではなく「選任」です。クラス3B・クラス4(と、目に見えない波長のクラス3R)について、次のように書かれています。

要綱4(1)原文
誰を「レーザー機器の取扱い及びレーザー光線による障害の防止について十分な知識と経験を有する者のうちからレーザー機器管理者を選任し」
何をさせるか障害防止対策に関する計画の作成及び実施/レーザー管理区域の設定及び管理/レーザー機器を作動させるためのキー等の管理/レーザー機器の点検、整備及びそれらの記録の保存/保護具の点検、整備及びその使用状況の監視/労働衛生教育の実施及びその記録の保存

※ 要綱の本文に、役所への届出や、免許・資格を求める項目はありません。この要綱以外の決まり(建物・消防・条例など)は別に確かめる話です。スモークを併用する場合の消防の手続きは 禁止行為の解除承認 に書いています。

3.クラス別に、やることの一覧

要綱の末尾にある「レーザー機器のクラス別措置基準一覧表」を写します(かっこ内は当社の補い)。○が、措置が必要なものです。

措置の内容クラス4クラス3Bクラス3Rクラス2M・1M
レーザー機器管理者の選任○○○※1
管理区域(標識、立入禁止)○○
光路の位置(目の高さを避ける)○○○○
光路の適切な設計・遮へい○○○※1
光路の適切な終端○○○※1○※2
キーコントロール○○
緊急停止スイッチ○○
警報装置(放出中と分かる表示灯など)○○○※1
シャッター○○
インターロックシステム等○○
放出口の表示○○○
操作位置(光線からできるだけ離れる)○
光学系調整時の措置(最小の出力で)○○○○
保護眼鏡○○○※1
皮膚の露出の少ない作業衣○○
難燃性素材の使用○
点検・整備○○○○
安全衛生教育○○○○
前眼部(角膜、水晶体)検査○○○※1
眼底検査○
掲示:レーザー機器管理者の氏名○○○※1
掲示:危険性・有害性、取扱注意事項○○○○
掲示:レーザー機器の設置の表示○○
高電圧部分の表示○○○○
危険物の持ち込み禁止○○
有害ガス、粉じん等への措置○○
障害の疑いのある者に対する医師の診察、処置○○○○

※1 「400nm~700nmの波長域外のレーザー光線を放出するレーザー機器について措置が必要である」。※2 「JIS 規格 10.6 に掲げるレーザー機器にあっては、レーザー光路の末端について措置が必要である」。どちらも一覧表の注の原文です。

クラス3Bとクラス4の差は3行です。操作位置・難燃性素材の使用・眼底検査がクラス4だけに付きます。あとは同じ並びで、管理区域・キー・緊急停止スイッチ・シャッター・インターロックはどちらにも付きます。

導入店の天井に付けたレーザーとムービングヘッドから、緑の光の線が客席の床へ向かっている
導入店の天井。緑の光の線と模様が、天井から床へ向けて当たっています。

4.検索で多い4つを、原文で

知りたいこと要綱の原文(クラス4=別記Ⅰ)
管理区域「レーザー管理区域を囲い等により、他の区域と区画し、標識等によって明示すること」「関係者以外の者の立ち入りを禁止し、その出入口には、必要に応じ、自動ロック等の措置を講じること」
保護めがね「レーザー光線の種類に応じた有効な保護眼鏡を作業者に着用させること。ただし、眼に障害を及ぼさないための措置が講じられている場合はこの限りではない」
健康診断「レーザー業務に常時従事する労働者については、雇い入れ又は配置替えの際に視力検査に併せて前眼部(角膜、水晶体)検査及び眼底検査を行うこと」(クラス3Bは前眼部検査まで)
教育雇い入れ・作業内容の変更・機器の変更のときに「労働安全衛生法第59条第1項又は第2項に基づく教育を行うこと」(労働安全衛生法の原文)。含める事項は、光線の性質・危険性及び有害性/機器の原理及び構造/取扱い方法/安全装置及び保護具/緊急時の措置及び退避

自分の店のレーザーで考えると:AIに相談する(店の写真で目安) 機材はレーザー(全26機種)

5.店の天井に付ける側が見ているところ

クラブの天井に並ぶムービングヘッドと、その下のフロア
当社が施工したクラブの天井。器具の高さと向きを決める段階で、光が届く範囲と、スタッフが立つ位置を重ねて見ます。

当社のレーザーライトは全26機種で、走査角は標準機で±20°、高出力機で±25°、防水機で60°です。光が振れる範囲が広いぶん、据え付ける位置と向きで決まることが多くあります。要綱の言葉を、店の天井に引き寄せると次のとおりです。

要綱の言葉据え付けで確かめること
「レーザー光路は、作業者の目の高さを避けて設置すること」器具の高さと走査角から、光が振れる範囲がスタッフの立つ位置の目の高さに掛からないかを見る
「レーザー光路の末端は、適切な反射率及び耐熱性を持つ拡散反射体又は吸収体とすること」光の行き先に、鏡・ガラス・金属の磨き面が無いかを見る。スモークで光線を見せる店ほど、行き先の壁を先に決める
「レーザー機器は、キー等により作動する構造とすること」キーをだれが持つかを決める(要綱はレーザー機器管理者にキー等の管理をさせる)
「非常停止スイッチを操作部及び必要な箇所に設けること」卓(操作する場所)から手の届く位置にあるかを見る
「一定期間以内ごとに、レーザー機器について専門的知識を有する者に…点検させ、必要な整備を行わせること」出力・安全装置・シャッター・ファンなど、要綱が挙げる項目を点検の表にしておく

※ この表の右の列は要綱の文言そのものではなく、要綱の趣旨に沿って当社が据え付けで確かめていることです。機種ごとのクラスは、本体の表示と取扱説明書で確かめます。クラスの定義(出力の区切り)はJIS C 6802に定められており、このページには写していません。

6.よくある誤解

誤解実際
「レーザーを扱うには国家資格が要る」要綱にあるのはレーザー機器管理者の「選任」。「十分な知識と経験を有する者のうちから」選ぶ、と書かれている
「レーザー安全管理者の講習を受けた人でないと、管理者に選べない」要綱の呼び名はレーザー機器管理者。選ぶ条件は上と同じ「十分な知識と経験を有する者」で、講習の修了を条件にする書き方は無い(本文に届出・免許・資格の語も無い)
「クラス4は労働基準監督署に届け出る」要綱の本文に届出を求める項目は無い。求められているのは管理区域・キー・緊急停止・保護めがね・教育・目の検査などの措置
「毎年、目の健康診断を受けさせる決まりだ」原文は「雇い入れ又は配置替えの際に」。クラス3B・4は前眼部、クラス4は眼底検査も
「この要綱はお客様を守る決まりだ」要綱1は「常時従事する労働者の障害を防止することを目的とする」。お客様への照射についての定めは、この要綱の中にはない
「工場の加工機の話で、店の演出には関係ない」適用範囲はクラスで決まる。外すと書かれているのは医療用と教育研究用

店に付けるレーザーの機種と据え付け位置はAIに相談する(この話の続きから) 図面や写真があればお問い合わせフォームから担当者へ。

レーザーの解説と機材(全6ページ)

7.次に読むもの

最終更新:2026年10月18日。出典は、厚生労働省労働基準局長通達「レーザー光線による障害の防止対策について」(昭和61年1月27日 基発第39号、改正 平成17年3月25日 基発第0325002号)と、その別紙「レーザー光線による障害防止対策要綱」「レーザー機器のクラス別措置基準」「レーザー機器のクラス別措置基準一覧表」です(厚生労働省のPDF・全12ページを取得して全文を確認)。通達は行政が事業者を指導するための文書で、要綱より後の規格の改正や、建物・消防・条例など他の決まりはこのページでは扱っていません。個々の店での扱いは所轄の労働基準監督署にお確かめください。このページは照明を据え付ける側からの一般的な説明で、安全や手続きの可否を保証するものではありません。書いているのは、クラブ・ホストクラブ・ラウンジ・ライブハウスにステージ照明を実際に施工している電気工事会社(日本ネオン株式会社)です。

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